夜伽

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翌朝、リリーたちが朝の挨拶に来た時にきちんと布団の中にいる自分を不思議に思っていたアナスタシアは、レインの一言で失態に気付いた。 「陛下からのお花が枕元にありました。おめでとうございます。これでアナスタシア様は正式な側妃となられました。」 アナスタシアが寝てから来た皇帝は、ねむりこけていた自分にあきれただろうに布団を掛け、夜伽をした証を置いて行ったのだ、さすがにリリーたちにそんな事は言えず、黙り込むしかなかった。 そう言えば、この部屋の前の住人たちは、側妃と認められずに兵士へ下げ渡されたり、夜のお勤めがなかったとリリーが言っていたような気がするが、自分は役目を果たしてないのに側妃にするとは、何が違うのかわからない。 「…てよろしいですか。」 考え事をしていてリリーが何を聞いたのか分からず、アナスタシアが返事ができないでいるとリリーは勝手に理解したように笑った。 「陛下の事を思い出されているのですね。余韻に浸りたいとは思いますが、そろそろお支度をいたしましょう。」 そう言われて、アナスタシアは自分が薄布一枚の夜着のままだったことに気付き、慌てて着替えをするのだった。
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