側妃

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側妃

いきなり側妃になったと言っても、後宮の自分の宮から出ることもないので、リリーやレインと話をしたり刺繍をしたりとクレア王国の東塔にいた時と侍女が違うだけで変わらないのんびりとした毎日が過ぎていく。 今まで後宮に入ったら、妃同士の交流や争いがあると思っていたので、周りが全く分からないこの状況は、予想外だった。 あれから皇帝陛下は、忙しいのか他の方のところなのかアナスタシアを召す事もない。 さすがにリリーたちも10日が過ぎると陛下の気が変わってしまったのかと心配し始めて落ち着かなくなってきた。 そんなある夜、なんとなく寝つけないアナスタシアは、庭で微かな物音がしたのに気付いた。 わざわざ別室に寝ているリリーやレインを起こすのもかわいそうだと思い、ガウンを羽織って庭に出た。
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