側妃

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月明かりの中、庭の中程に人影を見つけた。 茶色の髪に黒い瞳、背は高くて細身の男性は、帝国へ一緒に旅をして来たエドだった。 「エド様?どうされましたか。」 小声で声をかけるとびっくりしたのかアナスタシアを見つめる。 「こんな時間にお一人で庭に出てこられたのですか。」 「ここは私の宮です。なぜエド様が?」 「少し苛つく事があって、うろうろしていたら、ここに来てしまいました。」 「ここは陛下の後宮です。見つかれば、エド様がお咎めを受けることになるやもしれません。早く移動された方が。」 その時、廊下の方から巡回の女性兵の足音が聞こえてきた。 エドが宮から出るには、兵と鉢合わせしてしまう。 そう思ったアナスタシアは、咄嗟にエドを自分の部屋に招き入れ、巡回兵をやり過ごすことにした。
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