側妃

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「あなたは、男を自分の部屋に入れて、何かあったらどうするつもりですか。」 「エド様は、私に危害を加える方ではないでしょう。」 「危害の問題ではなく!」 アナスタシアの唇に温かい柔らかな感触がする。 気がついた時には、エドに唇を奪われて床に押し倒されていた。 「あなたは、自分の美しさをもっと自覚した方がいい。謝らないし、次は我慢しません。」 そう言ってエドは、床に寝たままのアナスタシアを残して部屋から出て行った。 アナスタシアは床に寝たまま、しばらく放心状態だったが、ふと我に帰り起き上がる。 のろのろとベッドまで行き、座って先ほどまでの出来事を思い返す。 エドに会って、巡回兵に見つからないように部屋に引き入れたのは、アナスタシア自身だったが、押し倒され唇を奪われてしまった。 自分の迂闊さが招いたことだが、不思議と嫌ではなかったことに気付き、愕然とする。 自分は、正確には夜伽をしていないとは言え、敗戦国の従属の印として後宮に入り、陛下に側妃として花を賜ったのだ。 そんな自分が陛下の臣であろうエドにキスをされ嬉しいなんて、クレアの民たちに合わせる顔がない。 この気持ちは早く捨てて、陛下の側妃として相応しい女性にならなければと思うのだった。
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