月夜の告白

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月夜の告白

『今日は執務にて、そちらに伺えず残念だ。』 半月ほど経ち、皇帝陛下から直筆の手紙が届いた夜のこと。 最近ずっと一緒にいたせいか、ひとりの夜になかなか寝付けないでいると窓に人影がうつる。 そっと近づいてみるとエドが、庭に立っていた。 慌ててガウンを羽織って、外に出て行くと向こうも気付き手を挙げた。 「エド様、どうしたの?」 「仕事していて無性にお前に会いたくなった。」 「私は陛下の花よ。」 「夜になって月を見たらお前が何をしているんだろうと思って、つい来てしまった。寝ていたら諦めようと思っていたら、お前が出て来た。」 「私は民のためにここへ来たけれど、今は陛下の御渡りがあるのよ。お願いだから立ち去って。」 「この前みたいに手は出さないから、話をしないか。そこの東屋で。」 あまりに寂しそうなエドに絆されアナスタシアは、東屋へ一緒に向かった。
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