異母弟

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アナスタシアが皇帝陛下と一緒に移動した部屋は、貴人用の牢屋らしく窓には鉄格子がはめられているが、室内は普通に調度品が備えてある。 中央のソファーに踏ん反り返っている太めの青年がいた。 たまにしか顔を見ることはなかったが、間違いなく異母弟グレゴリーだった。 「誰かと思えば、姉上ですか。せっかく女王にしてやったのに、すぐにカリアスに靡いて…恥ずかしいにも程がある。」 「前クレア王。私の妃に暴言を吐いて許されると思っているのか?」 何も変わらないグレゴリーに言い返すことが出来なかったアナスタシアの代わりに皇帝陛下は、前に出てくれた。 「グレゴリー、これからどうするつもりなの?」 「どうするも何も、姉上が寵姫ならクレア王国は存続してもらって、私が王に戻ればいいと思うが。」 この異母弟は、何も変わらない。 アナスタシアは残念に思いながら、ため息をついた。 「陛下、後はお任せします。私は、部屋に戻ります。」 グレゴリーにもう会うこともないだろうと思いながらも振り返る気にはなれなかった。 優しくしてあげれるほど交流もなかったし、民のことも考えられない王族としての矜持がないのでは到底庇い立てなどできないと思った。
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