254人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
そんな事をボーッとする頭で考えているとレインが枕元にやって来た。
「アナスタシア様、お客様です。」
「誰?」
「私ですよ。姫様。」
「⁈ マリナ?」
クレア王女時代、ずっと側にいた侍女のマリナだった。
「どうして?」
「姫様が寝込んでしまわれたと聞きまして、大好きなメーナを持ってお見舞いに来ました。」
幼い頃、熱を出して食欲がない時いつもマリナが食べさせてくれた甘い果実。
マリナの出身地である寒い地方の特産で、貴重なものなのに、マリナは実家から取り寄せてくれた。
これがあれば元気になるとアナスタシアが刷り込みさせられている果物だ。
早速、マリナがメーナを切り分け、アナスタシアに食べさせてくれる。
甘くて柔らかな果肉は喉をすっと通るほどジューシーで、思わず笑みが浮かんだ。
最初のコメントを投稿しよう!