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故郷
アナスタシアの体調は少しずつ良くなって来たが、まだ全快には程遠い。
皇帝陛下からしばらく後宮を離れて、離宮で療養した方がいいのではないかと提案があり、リリー、レインとマリナが付いて離宮に移ることが決まった。
出発の朝、アナスタシア一行の責任者として挨拶に来たのは、エドだった。
「移動中の警備及びアナスタシア様があちらに逗留中の物資補給の責任者、エドでございます。」
侍女の手前、丁寧に挨拶をしているが、アナスタシアを見てにっこりと笑ってくれた。
「片道5日程かかりますので、辛かったら言ってください。」
「はい。」
アナスタシアは、大きめの馬車の座面の間にクッションを敷き詰めた簡易ベッドに横になっての移動だったのと夜は宿屋に泊まるため、あまり疲れることはなかった。
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