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「姫様、カリアス帝国の風習をご存知ですか?」
「風習?」
「男性から女性に指輪を贈るとき、女性の瞳の色の石はあなたを愛しているで、自分の瞳の色は結婚してくださいなんですよ。」
「マリナは、なんでそんな風習を知っているの?」
「リリーさん達が、姫様の指輪見て、陛下に貰ったと思っているらしく、私に姫様は陛下のご寵愛があつく、姫様の瞳の色の指輪までいただいたのねと話していたんです。」
「それじゃリリーたちは、陛下に貰ったと思っているのね。」
「陛下の耳に入ったら、大変ですから母上様の形見とでも言っておきます。それから、そろそろエド様が来るはずですので、私は隣の控え室に移動しますね。姫様はエド様との時間を楽しんでくださいね。」
「ちょ、ちょっと待って。マリナ」
マリナと入れ違いにエドが部屋に入って来た。
侍女が誰もいないので、ためらいながらアナスタシアのベッドに近づいて来る。
「アナスタシア?」
「エド様、マリナがね。2人だけの時間をくれたの。隣の控え室にいるからって。」
「そうか。俺は明後日には一旦、帝都に戻らないといけないから、その前にこんな時間をもらえてうれしいよ。」
「しばらく会えないのね。」
「次に会う時は、一緒に外へ行けるくらいに元気になっていてくれ。」
「わかったわ。がんばる。」
「頑張らなくていいから。しっかりと身体を休めてくれ。もうお前のいない世界で俺は生きていけないからな。」
そう言って、アナスタシアの頭を優しく撫でてくれた。
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