東塔の姫

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「姫様、逃げましょう。」 ニーナが震えながら、マリナとアナスタシアの近くに来た。 「あなたたちは逃げなさい。私は残ります。」 「姫様…」 「グレゴリーがいない今、王位を継いだ私が、クレア王国最期を閉めないといけないのですから。」 「では、私はお伴します。姫様のお世話をするものが必要ですから。」 「マリナ、ありがとう。ニーナは、そこの兵士さんと逃げなさい。」 ニーナは首を横に振った。 「マリナさんが残るなら、私も残ります。カリアス帝国の兵士がびっくりするくらい姫様の支度をしましょう。」 「では、私は最後まで姫様をお守りさせてください。もし、生き残れたら『月光の乙女』を守った兵士と自慢できます。」 「みんな、ありがとう。あなたたちを死なせないように努力するわ。」 急造とは言え、女王にふさわしい落ち着いたドレスに着替え、王の間に移動する。 途中の廊下では、我先に逃げる使用人たちが、火事場泥棒のように色々な荷物を持っていたが、咎める気にならず放っておいた。
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