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帝都へ
エドがいつ来るのか待っていたが、先に帝都からの迎えというヨーク侯爵がやって来てしまった。
「アナスタシア様には、初めてお会いいたします。皇帝陛下の母君の兄に当たりますヨーク侯爵です。陛下がこの度、正式にアナスタシア様を皇妃にと決められたので僭越ではありますが、お迎えにあがりました。」
「ヨーク侯爵、来ていただきましたが、アナスタシア様はまだ復調したとは言い切れませんので、もうしばらくお時間をいただきたいところなのですが。」
「侍女殿、これは陛下のご希望ですぞ。臣民なら従うべきかと。」
マリナはなんとかしようとしてくれたが、ヨーク侯爵に従うしかなさそうだと思うアナスタシアは、譲歩案を引き出すことにした。
「私はまだ1日の大半を横になって過ごしていますので、馬車での移動はまだ難しいのですが、何か対策をお考えですか。」
「そうですか。では、ベッドを設置した馬車をご用意し、移動には倍の日程にいたしましょう。明後日には、馬車をご用意して参りますので、それまでに支度をお願いする。」
「わかりました。それではその時に。」
ヨーク侯爵を見送り、ホッと一息ついた。
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