帝都へ

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「ごめんなさいね。リリー、レイン、荷造りをお願い。マリナ、お母様の廟にお参りに行くから付き合って。」 マリナと一緒に母にお参りをして、部屋に戻る途中、マリナに泣きそうな顔をされる。 「マリナ?」 「エド様が来る前に陛下のお迎えが来るなんて、姫様がお可哀想です。」 「もしマリナがエド様に会うことがあれば、謝っていたと伝えてね。私は直接、声をかけられないと思うから。それに陛下は噂と違ってお優しい方よ。平穏に暮らせるわ。だから、きっと私は大丈夫よ。」 「姫様…」 残りの日々は、荷造りをする様子を眺めて過ごしていたが、やはりエドは現れない。 離宮への移動の警備と逗留中の物資の供給担当と言っていたエドが、アナスタシアが帝都へ戻ることを知らないはずがない。 後宮と違い、正妃の間は皇帝の居室と繋がっているだろうし、警備も厳重だろうから、帝都に帰る前に来てくれる事を少なからず期待していた。 それなのに会えないのは、エドが陛下の怒りを買い酷い目にあわされているのではないか、それだけが心配だった。
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