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予定通り3日後に馬車を用意したヨーク侯爵とともに途中、何度も休憩と宿泊をして10日で帝都に戻って来た。
新しい部屋にリリーとレインを先に向かわせ、マリナを供にヨーク侯爵に付いて皇帝執務室にいると言う皇帝陛下を訪ねる。
控室にマリナを残し、アナスタシアが部屋に入った途端、驚いたような顔をする陛下と目が合った。
「アナスタシア、なぜここに?」
「皇帝陛下、アナスタシア様をお連れしましたぞ。」
ヨーク侯爵が横にいることに気づいた途端、陛下の目が眇められた。
「伯父上、いやヨーク侯爵。これはどういう事か。」
部屋の気温が一気に下がったような感じがするが、ヨーク侯爵はまだ自分の失態に気づいていないようだ。
「陛下がアナスタシア様を皇妃に据えられると聞きまして、早くお会いになりたいだろうと連れて参りました。」
「アナスタシアは、準備が整ったら、私が直接迎えに行って話すつもりだったのだ。予定を狂わせ、先に話し、まだ完全に復調していないアナスタシアに長距離移動をさせただと。いい加減にしろ。」
「しかし、私は陛下のためを…」
「頼んでもいないことをして、まだ言うか。出て行ってくれ。」
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