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「ここは、陛下の?」
「ここは、私の寝起きしている宮だ。その中にアナスタシア用のスペースとして正妃の間を作ったんだ。寝室は一緒にしたが、正妃の間で普段は過ごせるようにした。」
「私以外の側妃の方が、それだと…」
「誰もいないよ。」
「えっ?」
「アナスタシアがここに来た日から後宮には誰もいなかった。私は、気に入らない女性が下げ渡されたり、行方不明になったりするという噂を放置していただけなんだ。」
「それは、どう言うことですか。」
「即位してすぐに早く妻を娶れ、子を成せと周りからうるさく言われて、まず近しい位置を狙う貴族の娘が何人か来た。その中には恋人と別れさせられて来たものがいたんだ。一応皇帝の命令ならみんな聞くから、寝所で一晩話だけして、気に入らなかったと元々の恋人に下げ渡す。向こうからすり寄ってくる女は、放っておくと勝手に浮気してくれたから、処分した事にして、名前を変えさせて、そいつのところに押し付けた。」
早く妻を娶れ、子を成せと周りからうるさく言われた?
どこかで聞いたような話だ。
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