対面

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塔から王の間に着いた頃には、ほとんどの人がいなくなり、静かなものだった。 「そういえば、勇敢な兵士さんの名前をまだ聞いていなかったわね。」 「ユーリとお呼びください。」 アナスタシアの警護を担当していた兵士の何人かは会話を交わしていたが、名前を聞いた事がなかった。 それは、警護と言いつつアナスタシアを外に出さないために配属された兵士達が、エリザベートから必要以上にアナスタシアと馴染むことを禁じていたからだが、兵士達からしたらアナスタシアに聞かれない限り畏れ多くて自分から名乗るなんて出来なかったせいもある。 「ではユーリ、カリアス帝国の将がいたら、ここへ案内してくれるかしら。ちゃんとした話し合いができる相手ならいいのだけれど。」 「かしこまりました。」 「ユーリ以外の兵士さん達は、どうしたかしら?」 「今日の塔の当番だった2人は、門の応援に行ってます。」 「もし、まだいたら戦う必要ないから、逃げるように伝えてね。」 「はい、姫さまの…いえ、女王様の言葉を伝えます。」 「マリナとニーナは、横にいてね。」 「「はい。」」
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