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カリアス帝国へ
王の間から東塔の部屋に戻るとアナスタシアは、早速荷造りを始めた。
お母様の肩身のブレスレットは、付けていこう。
ドレスは最低限であとは…と考えているとマリナとニーナが泣きそうな顔でこちらを見ている。
「姫様、私も一緒に参ります。」
マリナの意見にニーナもうなづく。
「いいえ。オーウェン将軍が身ひとつと言っていたでしょう。あなたたちが一緒にいてくれたから、私はあの場所でがんばれました。ありがとう。ユーリと3人守れる勇気をもらえただけで充分よ。故郷に帰って幸せに暮らしてね。」
「「姫様…」」
「たいしたものはあげれないけれど、マリナには指輪、ニーナにはこのネックレスを。ユーリには守り刀を渡してもらえるかしら。」
「もらえません。」
「いいえ。3人には感謝しているから、受け取って。お願い。」
「姫様とまた幸せな場所で再会できるまでお預かりします。」
マリナにそう言われて、アナスタシアはたぶんもう会えないだろうが、納得してもらうために約束をするのだった。
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