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まさか同じ理由だとは思わなかった。どうしてそんなことを普通に言えるのだろうか。顔に熱が集まる感覚がした。
「唄? どうしたの?」
顔を隠すように下を向いた私にソウマは心配になったのか私の手に触れる。
「あ、いや。……えーと……あ。ソウマの手っていつも冷たいなぁって思って」
思っていたより下手くそな話題転換に私は思わず口元を引きつらせた。
しかし、そんな私に気づいた様子はなくソウマは火でも触ったかのように私から手を引っ込める。
「ごめん。不快だったよね」
暖めるように両手を擦り合わせるソウマは心做しか辛そうに見えた。
「僕、小さい頃から冷え性なんだ」
でもそれは一瞬のことですぐに無邪気な笑顔をこちらに向ける。
「まだランと仲良かった頃さ」
「ラン?」
「あぁ、嵐史。古賀嵐史のことね。」
ちっさい頃からそう呼んでて、とソウマは照れくさそうに髪を触る。
本当に仲良かったんだなと思うと同時にあの古賀がソウマと仲良くしてることろが想像出来なかった。
「嵐史とまだ仲良かった頃に嵐史の首元を触ったの。それも冬にキンキンに冷えた、氷みたいな手で。そしたら泣き出してさ。」
ソウマは自分の手のひらを見つめながら楽しそうに笑う。
「え? 誰が泣き出したの?」
「え? もちろん嵐史だよ」
当たり前のことのように言うがいくら小さい時のことでも古賀がそんなことで泣くのが想像出来ない。
二の句が継げない私に気にせずソウマは続ける。
「すっごい勢いで泣くからさ、近所の人がみんな家から出てきて。なんか分からないけど、僕それが面白くてすごく笑っちゃって」
それから三日間くらい口聞いてくれなくなったんだよ。と拗ねたようにでも懐かしむように両手のひらを合わせた。
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