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コンコン。コンコンコン。
音が聞こえた気がして、目が覚めた。
コンコンコン。コン、コンコン。
それは耳をよくすまさないと聞き取れないくらいの小さな音。
コンコン。コンコン。
その不規則な音は外から聞こえて来るようだった。
俺は寝起き独特の怠さを感じながらゆっくり体を起こすと、ベッドのすぐ側のカーテンを開ける。陽の光が入り込み、薄暗かった部屋が一気に明るくなった。
コンコンコン。コンコンコン。
起きがけには強すぎる陽の光に目を細め、近くにあった時計に目を向ける。時計の針は六時を指していた。
今日は久しぶりの休みでいつもなら二度寝をするところだが音の正体が気になって眠れそうもない。
ぼーっとする頭を覚ますように髪をかきあげると窓を開けた。
コンコン。コンコンコン。
音が少し大きく聞こえた。
もう三月だと言うのに窓から冷たい風が入り込み、思わず近くにあった布団を引き寄せる。
この部屋の窓からは桜の木がよく見えた。去年に越してきて、桜が見えると気づいてから春を楽しみにしているのだ。
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