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満開になるのはいつだろうか。そんなことを思いながら葉の落ちた桜を眺めていると小さな鳥が木の幹にとまっているのが見える。
俺はそれがどうしても気になって、近くで見るために部屋着を着替え外に出た。
外はまだ肌寒く、朝の澄んだ空気が肺に染み渡る。桜の木の前に立つと音が大きく聞こえてきた。
音のする方へと桜の木を見上げとそこにはさっき見た鳥がいた。スズメより少し大きいだろうか、背中の模様が白と茶のしましまになっている。
コンコン。コンコン。
その鳥がクチバシで幹を叩く度に音がなった。
「この音、好きなんです」
突然小さな声が聞こえ、隣を見るとといつの間にか女の人が立っていた。身長は丁度俺の肩あたりで、ふわりと甘い匂いがした。その人は俺に見向きもせずに桜の木を見上げている。
その横顔に何故か目が離せなかった。
「あの鳥、知ってますか?」
俺が見惚れていたを知って知らでか、女の人が口を開く。その人は楽しそうに鳥を見つめていた。
「……キツツキ、ですか」
木を啄く鳥なんてキツツキしか知らない。
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