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いつかこんな日が来てくれたいいのにと願ったあの時の夢が、今こうして形になったことに驚きと幸せが交互にやってくる。
鼻先が触れる寸前の所で、イリアは彼の目を覗き込む。
「私も大好きよ、ヒューリ」
「ああ。勿論知ってるさ」
「どうして?」
ずっと想いを我慢してきたはずなのに、どこで零してしまったのかと思い返す前にヒューリが告げる。
「昨日囮になった時、はっきりとイリアは言ったじゃないか」
「あっ、あれは……!!」
確かに言った、大好きだと。
しかもあんな大勢の人の前で、堂々とそして大声で叫んでしまったのだ。
思い出すと顔から火が出そうになっていると、イリアの表情を読んだヒューリが目を細めた。
「なんだ、俺が嫌いか?」
「……意地悪!」
からかい始めたヒューリに今度はイリアが踵を持ち上げて、その上げた口角にキスをする。
そして燃え上がるその心のままにイリアは今の想いの全てを彼に、広がる世界に向けて声高に言った。
「このイリア・バーリアスは好きなものに常に全力なの!ヒューリ、私あなたの事が好きよ。大好きよっ!」
再び抱きつくとヒューリがそのまま力強く抱きかかえると、ネグルヴァルトの木々が真っ白な花々を咲かせその花びらを彼女らに浴びさせていく。
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