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イリアの縁談話がこうも進まない理由、それは彼女の両親の背中に憧れて突き進んだ結果……研究オタクになったのが一番の要因だ。
黙っていれば容姿端麗で美しいイリアだが、口を開いて彼女のオタク魂に火を付けたら誰にも止められない。
未だに嫁ぎ先が見つからないのも、イリアのその度の越えた研究に対する熱に着いて行けないのである。
ただイリアはその事に対して、何も恥を感じたことはなかった。
寧ろ、知識が豊富ということに胸を張って生きている。
研究熱心な所も、ひたすらに追求する所も、研究者としては当然のことであるとイリアは幼い頃から学んでいたのだ。
父の周りに集まる大人達もイリアと同様、何かについて語り出すと火はどんどんと燃え上がって、幼いイリアにはどの議論も興奮が移るものだった。
そんな環境下で育った彼女に、いきなりお淑やかに大人しくして世間一般の貴族令嬢らしく生きろなどということは、牢屋に入れらるのと同じくらい耐え難い事だった。
「また別の街で私の新しい噂が流れてしまいそうだけれど、それはそれで面白いから良しとしちゃおうっと」
数々のイリアをかなり頭のイカれたおかしな令嬢と言う目で見てきた貴族の跡取り息子達だったが、イリアは何一つ気にしていない。
そんなおかしな人間と言われている者達が、これまでどれだけの数の研究、発明をしてきたのか、彼らは知らないのだ。
事実や答えを知らないこと、それは人間の生き方をダメにするものだと、イリアはよく父に言われていた。
「ここはそうだわ。何か一つ大きな研究を発表して驚かしちゃおうかしら!」
研究する張合いがまた出来たと言わんばかりに、荷物を担ぎ直してとある場所へと一直線に向かった。
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