193人が本棚に入れています
本棚に追加
「終わったのか?」
「うん。先生に後は任せたから私のやるべき事は終わったよ」
「まさか事件が解決したというのに治療薬を作らせてくれと名乗り出るなんて、本当にイリアらしいな」
「まあね!」
全ての謎が解けたネグルヴァルトのことも、勿論イリアの手であの霧の正体である魔力の解除をするつもりではいた。
イリアの好きが詰まったあの森で誰かが傷つくのは目を逸らす事ができず、寧ろあの森は何も怖くない森なのだと薬を作って証明して見せたかった。
証拠として人々の安全が確認取れた今、イリアの気持ちは晴れ晴れとしていた。
好きなものは我慢したとしてもやはり好きで、辞められない気持ちはどうしようもできないのだと身をもって知った。
「好きなものはやっぱり好きだもの」
父ロットが夢中になっているのを見て影響された研究も、母エヴィリアが楽しそうに仕事をしている姿を見て好きになった調薬も、イリアの中で好きとして全身を駆け巡る。
この胸のトキメキはいつだってイリアの中にあり続けるものなのだから。
「じゃあ俺も、もう我慢しない」
そう言って一気に距離を詰めてきたヒューリがイリアを軽々しく抱き上げると、ヴァイルがすぐ様やってくる。
最初のコメントを投稿しよう!