2.オタク令嬢はドラゴンと出会う。

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そんなイリアが恐れる縦穴に十分警戒しつつ周囲をよく確認しながら奥へと進んで行き、縦穴の事ばかりに気を取られていたイリアはふと上を見上げた。 「おかしい……なんで森の光が徐々に薄れていっているの……?」 光る森の輝きがチカチカと消えかけては、また灯ってと繰り返すその様子にイリアはただならぬ事が起きているんだと予測した。 生き物すら生息しない森だというのに、やけに騒がしく感じてしまうのはイリア自身が焦っているせいだけではない。 よく地面を見れば、波打つ木々根っこが意思を持つかのように根を伸ばしていく。 一本の木だけではなく、複数の木々が同じように一つの方向に根を伸ばしていっている。 ーーこの先に一体何が……? この森全体が異常事態を感知し蠢いているこの光景をしっかりと目に焼き付けつつ、根が伸びていく方向へと一緒に進んで行くと、胞子が上へと舞い上がり荒れた大地が広がる場所へと出た。 先程の衝撃のせいなのだろうか、辺りの木々は何本か倒れていた。 その木の支えとなるべく森の木々の根が伸びていたという事実に研究オタクの感心を向けようとした。 「……?」 木々の間から差し込む月明かりの光の中で何かがいるのを感じ取ったイリアは好奇心を捨て去り、真剣にその何かに集中した。 ただ暗くてはっきりとは見えず、慎重にその何かに近づこうと足を動かした ーーその時だった。 「グルルル……」 低く地を這うようなその唸り声に、本能がそれ以上近づくなと警報を鳴らした。 イリアはその場で一つ唾を飲み、鞄の中からナイフを取り出し体勢を構えた。
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