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観覧車は遊園地の中心に位置していた。
大きな月を背景に浮かび上がって見える観覧車はあまりにも巨大だった。Xは影の少年を連れて、観覧車に乗りこむ。係員によって籠の扉が閉ざされて、ゆっくり、ゆっくりと視界が持ち上がっていく。
この『異界』には、どうやら遊園地しか存在しないらしく、色とりどりの明かりに満たされた遊園地の外はどこまでも広い闇が広がっている。それでも、少年にとっては十分に目を楽しませてくれるものであるのか、窓に張り付いて眼下に広がる光景を見つめている。
Xは眼下に広がる光景よりも、よっぽど影の少年に気を取られているようで、じっと少年の後ろ姿を見つめていた。すると、少年が窓の外を見つめたまま声を上げる。
「ありがとうございます、おじさん。楽しい思い出ができました」
「ならよかった。けど、一緒にいるのが私でいいんですかね」
「いいんです。僕、おじさんに会えて、よかったです」
Xは、その言葉に一体何を思ったのだろう。不意に、少年の肩に手をかけた。少年がこちらを振り向く。
「おじさん?」
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