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詩道がくわしく説明しようとすると、図書室の扉が勢いよく開いた。
扉の外にはいつもと変わらない学校の廊下が続いている。
「こんにちはー! シドー、今日も来たよ!」
「こんにちは、心。昨日言ってた絵本、見つけておいたよ」
「ほんと!?」
青色のランドセルを背負ってやってきた小柄な男の子は、図書室に入ってくるなり詩道にかけよった。心と呼ばれた男の子に対して、詩道はとてもフレンドリーに接している。
「こいつ、本当に詩道かよ?」
「なんか全然知らない人みたいだよね」
「でも、すごく活き活きしてるわ」
コソコソと3人が詩道について話している間も、詩道は笑顔で心に絵本を渡していた。
「これだ、これ! オレが好きな絵本だ!」
「見つかってよかったよ」
「本棚倒さなかったか?」
「……」
心の問いに対して、詩道は口をひき結んで目をそらした。心は詩道にジトッとした視線を向ける。
「シドー?」
「本棚は倒してないけど、本は散らかした……。でもちゃんと受け止めたから大丈夫!」
親指を立てた詩道は、ため息をはいた心にあきれられていた。見た目では心の方が年下に見えるけれど、この状況ではまるで心の方が年上のようだ。
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