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1.フシギな少年
「いただきますっ!」
今は給食の時間。5年1組の教室では、みんなが自分の席について手を合わせていた。
机をくっつけて班になり、おしゃべりしながらお昼ごはんを食べ始める。
3班では、ぽっちゃり体系の竹下矢一、ポニーテールの吉野波美、お嬢様のような可愛い格好をした佐々木日奈の幼なじみメンバーが給食を食べていた。
その3人が楽しく会話をしているなか、もう1人の班員である丸眼鏡をかけた宮本詩道は静かにシチューを食べている。
「今日の昼休みはどうするんだ?」
「どうせ矢一は外で遊ぼうって言うんでしょ?」
「たまには違うこともしたい。できるなら俺はゲームがしたい」
「まさかゲーム機、持ってきてないでしょうね?」
「流石にそんなことしねぇよ!」
「まぁまぁ。矢一くん、デザートの残り物ジャンケン始まるみたいよ?」
矢一と波美の軽口はよくあることだ。そしてその軽口がケンカにつながりそうになると、日奈が止めに入る。
詩道はそんな3人の会話に耳をかたむけて微笑んでいた。
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