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そうじの時間を終えて昼休みが始まると、矢一と波美と日奈は机をくっつけた。波美は教室にある、先生が用意してくれているトランプを持ってきた。
「おまえは参加しないのか?」
波美がシャッフルしている間に、矢一は静かに本を読んでいる詩道に声をかける。
詩道は小さくうなずいた。
「ねぇ詩道くん。何の本を読んでいるの?」
日奈が詩道に話しかける。
「これは学校の怪談話がいろいろ入ってる本だよ」
「怖い話なのね。おもしろい?」
「うん。本に興味ある?」
楽しそうに話を続ける2人をぼうぜんと見ていた矢一は、面白くなさそうにムスッと眉を寄せた。
「なんだよ、楽しそうに話しちゃってさ」
「矢一ったら詩道にヤキモチ?」
「ちげーし! 2人でトランプやっても面白くねぇだろ」
「それはそうかも」
詩道は日奈に向けて本の表紙を見せているところだった。
「『学校の怪談話集』? ずっとそれを読んでたわけ?」
「違うよ。今日はこれだけど、昨日は冒険ものを読んでた」
日奈に続いて波美まで詩道との会話を始めてしまった。矢一は仕方なくトランプをケースに仕舞うと、3人の輪の中に入ることにした。
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