1.フシギな少年

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「言いたいことあるなら言えよ」 矢一が気味悪そうに言葉をかけると、詩道はゆっくりと口を開いた。 3人がドキドキした面持ちでゴクリと喉をならす。 「知ってる? 実はこの学校の図書室はね、夕方の決まった時間に行くとステキな場所にたどりつくんだよ」 その言葉に、3人は小さく息を飲み込んだ。 「ステキな場所ってなんだ?」 「本がたくさんある場所。しかも魔法の図書室だよ」 「魔法?」 日奈は目を輝かせている。そんな日奈とは反対に、バカバカしいとでも言いたそうな矢一に、詩道はニヤリと笑いかけた。 「疑うなら、自分の目で確かめてみなよ」 「あたしも興味あるわ」 「信じてんのかよ?」 「信じてはないけど……。本当に魔法の図書室に行けたら、楽しそうじゃない? 見てみたいと思わない?」 言葉のとおり楽しそうな波美と日奈に挟まれた矢一は、小さくため息をはき出した。 「分かった。行くよ。夕方って何時に行けばいいんだ?」 「4時くらいかな」 「あいまいだな……」 矢一はあきれたように首を振る。 強制的に矢一に誘われ、詩道は残りの休み時間をトランプをして過ごした。
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