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「言いたいことあるなら言えよ」
矢一が気味悪そうに言葉をかけると、詩道はゆっくりと口を開いた。
3人がドキドキした面持ちでゴクリと喉をならす。
「知ってる? 実はこの学校の図書室はね、夕方の決まった時間に行くとステキな場所にたどりつくんだよ」
その言葉に、3人は小さく息を飲み込んだ。
「ステキな場所ってなんだ?」
「本がたくさんある場所。しかも魔法の図書室だよ」
「魔法?」
日奈は目を輝かせている。そんな日奈とは反対に、バカバカしいとでも言いたそうな矢一に、詩道はニヤリと笑いかけた。
「疑うなら、自分の目で確かめてみなよ」
「あたしも興味あるわ」
「信じてんのかよ?」
「信じてはないけど……。本当に魔法の図書室に行けたら、楽しそうじゃない? 見てみたいと思わない?」
言葉のとおり楽しそうな波美と日奈に挟まれた矢一は、小さくため息をはき出した。
「分かった。行くよ。夕方って何時に行けばいいんだ?」
「4時くらいかな」
「あいまいだな……」
矢一はあきれたように首を振る。
強制的に矢一に誘われ、詩道は残りの休み時間をトランプをして過ごした。
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