2.魔法の図書室

1/8
前へ
/109ページ
次へ

2.魔法の図書室

放課後になって、4人は図書室に向かって歩いていた。 ほとんど荷物の入っていない矢一のランドセルからは、筆箱の音がカタカタとなっている。 「嘘じゃないんだろうな?」 「嘘だったらなぐってもいいよ」 「い、いや、そこまでしねぇけど」 堂々とした言葉に、矢一はたじろいだ。 詩道について図書室にやってきた3人は、特に変わりばえのしない図書室に首をかしげた。 「今は普通の、いつもと同じ学校の図書室だよ。中をのぞいてごらんよ」 言われるままに扉を開けて中をのぞいた3人は、いつもと同じ普通の図書室を見た。 本の少ない図書室になんて、普段は図書の授業でしか入ることはない。今も中には誰もいなかった。 「これが魔法の図書室に変わるのか?」 「そうだよ」 「魔法を想像するだけでステキよね! 去年やっていたドラマにとても広い図書館が出てきたのだけど、それくらい広い図書室になっていたりして」 日奈がドラマの映像を思い出してうっとりしている。 「間違ってはないよ」 詩道もワクワクとした表情で4時になるのを待っていた。 今まで見たことのない詩道の表情に、矢一と波美があっけに取られている。日奈はまだうっとりとしていて、詩道の表情には気が付いていなかった。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加