17.さあ、ふたりの未来を語ろう!

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 お互いに汗びっしょりだ。  シーツも湿って気持ち悪い。 「お風呂に入りたい」  そう言って耳朶を食むと、彪が笑った。  シーツやタオルケットを持ち、二人で裸のまま寝室を出た。  洗濯機を回し、バスタブにお湯を張る。  着替えを取りに自分の部屋に行くと、彪がついて来た。 「服とか、寝室に運ぶか」 「え?」 「入りきらない分はこのままでいいからさ」  彪が写真を手に取る。がすぐに置いた。 「さ、一緒に風呂入ろう」 「えっ! 一緒に? 無理です!」 「待ってる間に冷えそうだし、いいだろ」  私の意見など聞く気はないようだ。  恥ずかしい、が、早く汗を流したい。  背に腹は代えられず、私は夫に従った。  ただ、お風呂でのセックスは何としても阻止したく、最大限の警戒態勢でいると、彪に「もうしないから」と笑われた。  背後から抱き締められる格好で、バスタブに浸かる。 「なぁ?」 「ん?」 「月曜の午前、有休取るから」 「え?」 「色々、名義変更とかあるだろ?」 「名義変更……」  そうだ。  彪は婚姻届の『婚姻後の夫婦の氏』の欄の『妻の氏』にチェックをつけた。  本籍地はこのマンション。  これにより、私たち夫婦の戸籍の筆頭者は私になった。  圧倒的多数で、婚姻後は妻が名義変更に奔走するだろう。  だが、私たちの場合はそれが彪で、クリスマスが終わったら年末で、早くしないと全ての手続きが年明けになってしまう。
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