17.さあ、ふたりの未来を語ろう!

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「月曜の朝一で区役所行って、戸籍謄本と住民票を貰って、警察で免許証の住所変更をして――」と、彪が指を折る。 「――マンションと車と生命保険の名義を変更して、会社にも届なきゃだろ? あ! スマホの名義変更もか?」 「あ、あのぉ……」 「ん? あ、名字のことは言うなよ? 俺がそうしたかったんだ。椿に、『是枝椿になってください』とか言ってみたかったのも確かんだけど、お家騒動みたいなのに巻き込まれたくないからさ」 「けど――」 「――ホントに清々してる」  本当だろうか。  是枝の姓を名乗り続けることで、私にまで迷惑がかかるのではと配慮した結果ではないのだろうか。  だが、届はもう出した。  彪が私の肩にチュッと口づけた。 「指輪はいつ買いに行く?」 「指輪……」 「うん。式を挙げなくても、結婚指輪は買うだろ」 「指輪……」  私は指輪をはめたことがない。  恋人がいなかったからだけでなく、金銭的に余裕がなかったからだけでなく、私自身が装飾品に興味がないから。  自分の指を見つめる。 「指輪……」 「俺とお揃いの指輪、欲しくない?」  彪とお揃いの指輪……。 「欲しい、かも……しれない」 「なんだよ、かも、って」と、彪が笑う。 「楽しそうですね」 「ん?」  昨夜から、彪はいつもとは少し違う、いつもより子供のような、倫太朗のようなテンションのようだ。
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