17.さあ、ふたりの未来を語ろう!

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「そりゃ、楽しいだろ。好きな女と結婚出来て、めいっぱい抱いて、未来(これから)を語り合うんだ」 「未来(これから)……」 「出るか」と言って、彪が立ち上がり、私の手を引いた。  互いの身体を拭いて、部屋着を着せ合う。  私には初めてのことばかりで戸惑うが、彪は常時楽しそうだ。  昨夜食べ損ねたオードブルやケーキを並べて、食べた。 「な、椿?」 「はい」  しんなりしたエビフライを咀嚼しながら、彼を見た。 「今までは目先の目標っていうか、目的しか考えていなかったと思うけどさ――」  フッと微笑んだ彼に、今更ながらドキッとする。 「――これからはもっと未来(さき)のことも考えていこう」 「未来(さき)?」 「そう。椿にとってこの十年くらいは、借金返済が全てだったろ?」  うん、と頷く。 「けどさ、もうすぐ完済で、年明けからはフードロス企画も本運用が始まる」  うん、と頷く。 「結婚もした」  うん、と頷く。 「だから、今まで考えられなかった色んな事、考えよう。で、俺と話し合おう」  実はどこか、現実的じゃなかった。  彪のお祖母様に会っても、婚姻届を書いても、提出しても、夢のような感覚。  いつか醒めてしまうんじゃないかと不安が拭えない、幸せな夢。  だって、憧れていた、尊敬していた是枝部長が私を好きだなんて、信じられる!?
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