17.さあ、ふたりの未来を語ろう!

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「椿。……俺たちは死ぬまで一緒だ。椿が言ったんだぞ? 俺を孤独死なんかさせないって。それは、俗に言う『死が二人を別つまで』ってやつだろ?」 「死ぬまで一緒……」  彪が立ち上がり、私の横に膝をつく。  そして、私の頭を撫でた。 「出会ってから今日まで、結構な勢いできたもんな。実感がなかったか?」  小さな子供をあやすように、よしよしと頭を撫でられる。 「だから、難しい表情(かお)してるのか?」  しょっぱい。  何も食べていないのに、口の中がしょっぱい。 「倫太朗ほどじゃないかもしれないけど、俺、お前のことわかってきたよ」  しょっぱいのは、涙だ。  私が流した、涙。 「ずっと一人で頑張ってきたから、自分以外の誰かのペースに巻き込まれると、ついて行けないんだよな?」  彪が私の眼鏡を外す。  途端に視界が滲み、何も見えなくなる。 「不安があるなら言ってくれ。でなきゃ、お前と結婚出来て舞い上がってんの俺ひとりで、恥ずかしいだろ?」  どうして(この人)は、こんなに優しいの……。  ずっと、ひとりで生きていくのだと思っていた。  それを寂しいと思う間もなかった。  借金を返しても、自分がどこの誰かはわからないし、お祖母ちゃんの言葉は消えない。忘れられない。  ひとりでいいと、思ってた。  (この人)に会うまでは――。
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