17.さあ、ふたりの未来を語ろう!

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 ひっく、と肩を震わせて酸素を吸うと、私は彪の首に抱きついた。  ガタン、と椅子が倒れた。  彪は、私を抱き留め、抱きしめてくれた。 「好き――っ!」 「うん、俺も」 「こ、子供っ、たくさん欲し――」 「――うん」 「仕事……続けて――」 「――うん、いいよ」 「指輪……も――」 「――うん、買いに行こうな」 「……ひとりにしないで」  ぎゅうっと、痛いくらい強く抱き締められた。 「椿こそ、俺をひとりにしないでくれよ?」  幸せ慣れしてなくて、面倒臭いと自分でも思う。  だけど、こんな風になんの不安もなく、寄りかかれる誰かが現れるなんても考えたこともなかった。そんな人が私を愛してくれるだなんて。  小さな子供のようにわんわん泣いた。  その間、彪はずっと私の頭を撫でていてくれた。 「大丈夫」「ずっと一緒だ」と何度も言ってくれた。  両親が亡くなったあの日から溜め込んだ涙は、彪のスウェットをぐっしょり濡らすほどだった。  散々泣いたらお腹が鳴った。  彪が笑って、フライドポテトを私の口に押し込んだ。  ポテトはすっかり冷めて、もそもそしていた。  それでも、美味しいと思った。  心の中でずっと、しとしとと降り続いていた雨が止み、陽の光で満たされた気がした。
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