18.信じる気持ち

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*****  寝正月、という言葉の意味をご存じだろうか。  知っているつもりだったが、どうやら意味はもうひとつあったらしい。  彪のお母さんとの対面から三日。  私と彪は、初めて迎える正月のため、私の部屋の荷物を寝室に運び、大掃除をして、なんとか『柳田家』を整えた。  そして、清々しい気持ちで年越しそばを食べ、年末の歌番組やお笑い番組などを見た。  正直、歌手も芸人もよくわからなかった。  彪も同じようだった。  だからか、早々に飽きたらしく、テレビを消した彪が宣言した。 「よし! 今年はがっつり寝正月だ!」  日頃の疲れや大掃除の肉体的な疲れ、お祖母様やお母様との対面など精神的な疲れなどあるだろう。  そう思って、私は「いいですね」と答えた。  まさか、寝と書いてセックスと読むとは知らずに。  宣言通り、私たちは三が日をベッドで過ごした。  もともと三が日は買い物に出るつもりがなかったから、食材などは買い込んでいたが、それがあだとなって、言葉通り丸三日間をベッドで過ごした。  そして、事件が起きたのは最終日。 「やべ、ゴムきらした」  正確には、使い果たした。  誤解のないように補足すると、この三日間でひと箱を使ったわけではない。  正確な回数など憶えていないが。  とにかく避妊具がなくなった。  その時の私は、正直に言ってホッとした。  精も根も尽き果てるとはこのことかというほど、疲労困憊していた。  明日から仕事だと言うのに、腰が痛い。  セックスして、寝て、起きてセックスして、食事をして、セックスして。  食事の時以外はずっと彪に触れられていた。
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