18.信じる気持ち

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 そして一週間。 「HAPPY WEDDING!」  玄関を開けるなり、近所迷惑この上ないハイテンションな大声で言われた。 『これから行きます』という短いメッセージの後に、うさぎが車になっている絵文字。  ちょうど指輪を受け取りに出ていた私たちは、足早にマンションに帰った。  街をブラブラして、食事をして帰るつもりだったのに台無しだ。  けれど、彪は文句を言わなかった。 「ありがとう。あ、明けましておめでとう」  私はお祝いのお礼と新年の挨拶を言った。 「あれ? ラブラブ新婚さんなのに、いつも通りのテンション? もっと幸せオーラに満ち溢れてると思ったのに」と、唇を尖らせる。 「いきなり来て、不満を漏らすな」 「はぁい」  倫太朗は大きな箱を抱えていた。  大きくて平たい木箱。 「なに? これ」 「結婚祝い」  中身がなにか、全く想像もつかない。  倫太朗はリビングのラグの上に木箱を置いた。 「コーヒーでいい?」 「ううん、いらない。それより、椿ちゃん、これ開けて」 「え?」  私と彪は顔を見合わせ、箱の前に座る。  そして、言われるがままに、私は箱を開けた。 「着物……?」  白い和紙が見えて、そう思った。  蓋を置き、和紙を開く。 「これ……」  どうして忘れていたのかも覚えていない。が、包まれていたのは、私の成人式に祖母が買ってくれた碧い振袖。 「この着物を着て三人で写真を撮った後、預かったんだ」 「預かる? 頼まれたの?」 「そう」
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