18.信じる気持ち

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「自慢してたよ。うちの孫がどこの高校に合格した、とか、嫌な顔をせずに家事を手伝ってくれる、とか」  意外だった。  祖父はあまりお喋りな人ではなくて、家にいる時は将棋を指しているか、時代劇を見ていて、外出は時々ご近所さんと喫茶店に出かけるくらい。  祖母も、ご近所さんの噂話を聞くことはあっても自分のことを話す人ではない。  と思っていた。 「息子に似て機械に強い、とも言ってたな」  息子に似て……? 「嘘よ。だって、私は――」 「――それが祖父ちゃんと祖母ちゃんの気持ちだったんじゃないのか?」  彪を見る。  彼の顔が、滲んで見えた。  溢れる涙が頬を伝う。  その涙を、彪の指がそっと拭ってくれた。 「椿は、愛されていたんだよ」 「……っ」 「亡くなった両親も、引き取って育ててくれた祖父ちゃんと祖母ちゃんも、倫太朗も、みんな椿を愛してるんだよ」 「ふ……ぅっ」  ギュッと瞼を閉じると、彪の指では拭いきれないほどの涙が零れ、顎から私の太腿に落ちた。 「でなきゃ、こんなに嬉しい結婚祝いを遺してくれたりしないだろう?」 「う……ぅ」  みっともない嗚咽しか出てこない。  ぐしゃぐしゃな顔を見られたくないのに、俯くことも出来ずにいる。 「ってゆーかさぁ、俺、この話前にもしたのに、やっぱりちゃんと聞いてなかったね」 「え?」  彪の手が離れ、私は倫太朗に目を向けた。  彼は、浮かんだ涙を自分の指で拭っていた。  そして、少し呆れたように笑った。
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