18.信じる気持ち

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「お祖母ちゃんの葬式の後で言ったよ?」 「そう……だっけ?」 「そうだよ! だから、お祖母ちゃんの言ったことは気にするなって言ったのに。ま、冷静に俺の話を聞けるような状況じゃなかったか」 「そう思ったんなら、改めて言えば良かったろ」と、彪がティッシュの箱を倫太朗に差し出す。  倫太朗は二、三枚のティッシュを取り出すと「えー、俺のせい?」と口を尖らせながら顔を拭いた。  私もティッシュを抜こうとすると、濡れたタオルを渡された。  いつの間に取りに立っていたのか。 「え? なんで椿ちゃんにはタオルで、俺はティッシュ?」 「ティッシュで擦ったら、椿の肌が荒れるだろ」と言って、彪がタオルを持つ私の手ごと掴んで、顔を拭く。  温かい。 「ちぇっ。俺、これでもモデルなんだけど?」 「自己管理しろ」 「折角、着物渡しに来たのに!」 「うん。ありがとう、倫太朗」  目にタオルを当てたままで、言った。 「これで、心置きなく東京に行けるよ」 「え?」  タオルを外すと、倫太朗が立ち上がって伸びをしていた。 「生活を東京に移すよ。あ、仕事では来るだろうから、マンションはそのままにしとくけど」 「どうして?」 「麗さんに逃げられないように」 「京谷さん!? 付き合ってるの?」  倫太朗にしては珍しく懐いているとは思ったけれど、本気だとは少し意外だ。
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