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彼が立ち上がり、手を引かれて私も腰を浮かす。
「あ、誤解のないように言っておくけど、俺にとって椿は女王様だからね」
「じょ――」
「――きっと一生、頭が上がらないからね」
私の人生で、まさか女王様に揶揄される日がくるとは。
恭しく、けれどわざとらしく、彪が私の手を取って寝室にエスコートする。
「これからは、俺に拝ませてね」
彪が私に拝みたいことなどあるのだろうか。
「手始めに、クリスマスのエロい下着姿を見せてもらえるように、拝もっかな」
「あっ――れは!」
「あの下着つけた椿に乗っかられたいなぁ」
彪が、だらしなく目尻を下げて笑う。
「ぜっ、前言撤回です! その顔は格好わる――」
「――愛してるよ、俺の女王様」
腰を抱かれたかと思ったら、ベッドに放られる。
そして、横たわる私の上に、いかにも悪い顔をした旦那様が圧し掛かる。
「さあ、じっくり身体で未来を語ろうか」
私の身体に、私たちの未来が宿るのは、そう遠い日ではないようだと覚悟して、私は最愛の旦那様の首に腕を絡めた。
----- END -----
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