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彪さんからの電話で居酒屋に行った。
椿ちゃんに置き去りにされたお姉さんを、送り届けて欲しいと頼まれたから。
今朝、大阪から戻った俺は、既にほろ酔い加減で彪さんに聞いた。
『おっぱい大きい?』
彪さんが引いているのが電話越しにもわかった。
彪さんから、『ああ。大きい』と聞いて、俺は財布とスマホと鍵をポケットに突っ込み、マンション前の待機場にいるタクシーに乗り込んだ。
二十分ほどで店に着き、案内されて部屋に行くと、好みど真ん中の年上の綺麗でおっぱいの大きなお姉さんが、目をとろんとさせながらラーメンをすすっていた。
彪さんの名前を出すと、お姉さんはなんの疑いも迷いもなく、俺に酒を勧めた。
「彪になんて頼まれたの?」
「え?」
「可哀想なバツ二の欲求不満女がいるから、おっぱいでも揉んでやってくれって?」
頬杖をつき、流し目で見つめられ、足の付け根が巨大化し始める。
「可哀想なバツ二なの?」
年下だと侮られないように、気取って聞いた。
「そーよ。バツ二で、欲求不満で、元カレがラブラブエッチするのを妬むような哀れな女」
ふふっと笑うと、ジョッキに半分ほど入っているビールを一気に飲む。
そうか。
お姉さんは彪さんの元カノで、彪さんと椿ちゃんはラブラブエッチか。
わかっていたことではあるが、少しだけ寂しく思う。
ずっと、椿ちゃんの幸せを願っていた。
実の家族よりずっとそばにいて、きっと普通の姉弟よりずっと仲の良い姉弟関係。
昔、好奇心から椿ちゃんとセックスをしたが、互いの感情は家族の情であるとわかり、それ以降は本物より本物らしい家族として接してきた。
けれど、だからこそ、椿ちゃんと結婚したら本物の家族になれる、と本気で思っていた。
椿ちゃんは家族になりたい男を見つけちゃった……。
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