番外編*1 R&R

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「ふぅ。お腹いっぱい」  だろうな、と思った。  テーブルの上の皿とジョッキを見れば、納得だ。  彪さんから電話があった時にはもう、椿ちゃんはいなかっただろうし、いくらかは皿も片付けられたと思う。  お姉さんは目を伏せ、眠っているのではと心配になるくらいじっとしていた。  それから、パッと顔を上げ、肩を上下させて息を吐いた。 「さ! 帰ろ」  外していたジャケットのボタンを閉め。襟を伸ばして背筋を伸ばす。  すると、胸が強調された。  ゴクッと喉が鳴る。  年上の美人で、おっぱいが大きい。  長い黒髪は毛先が巻いてあって、化粧は少しきつめ。 「お姉さんのリップ、良い色だね」と、無遠慮に唇を見つめて言った。  お姉さんが嬉しそうに頬を緩める。 「ありがとう。気に入ってるの」 「もしかして、朱月(しゅげつ)堂?」  自社製品だが、揚げ物やらラーメンやらを食べた後では、艶が変わって断定できない。 「あら、詳しいのね? そ。夏モデルなんだけどね? 気に入ってるの」  お姉さんの色は、確か冬モデルは限定販売にしたはず。直営店のみ取り扱いの上、各店数量限定なのだ。ついでに、夏モデルより高い。  たいして愛着があるわけではないが、やはり自社製品を褒められるのは嬉しい。 「お姉さん、家はどこ?」 「出張で来てるから、ホテルなの」 「一緒に行っていい?」 「ダメ。セミダブルだし、壁が薄いから」  話が早い。 「じゃ、俺のマンションに来てよ。二十三階だよ? 一緒に夜景を見よう」 「二十三階も夜景も興味ないけど、気持ちいいセックスしてくれるなら行く」  そう言って立ち上がると、少し不安定な足取りで俺の隣にやって来る。  膝から倒れ込むように座ると、おっぱいを強調するように前のめりになって顔を寄せた。  キスされると思った。
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