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年上好きなのは、子供時代に母親に甘えられなかった反動かもしれないが、年上を乱れさせたいなんて、なかなか相手に恵まれない。
居酒屋でお姉さんを見た時、確かに好みだと思ったけど、それ以上に、なんて言うか、雰囲気が無防備で、いままで寝てきた隙のないバリキャリとは違った。
「きゃあっ!」
夢中になっていたら、イッた弾みでバランスを崩したお姉さんの膝がカクンと折れた。
「わっ!」
咄嗟に腰を抱き寄せる。彼女の身体が俺に覆い被さり、そのままひっくり返る。
俺は尻もちをついたが、お姉さんを抱きとめることが出来た。
「大丈夫?」
「んっ……」
大きな胸を上下させて、身体を預ける彼女を強く抱き締める。
「ごめんね、夢中になっちゃった」
「そ? 意地になってるんじゃなくて?」
「え?」
お姉さんが顔を上げて、ふふっと笑う。
手を伸ばされ、頭を撫でられるのかと思った。が、違った。
俺の頭に乗っかったままのブラジャーを掴み、ポイッと放る。
「慣れてるのね、セックス」
「え? あ、いや」
「ちゃんと避妊してる?」
「……うん」
子供を持つ気のない俺は、避妊だけは怠らない。
安全日だと言われても、不妊症だと言われても、ゴムを着けないことはない。
「なんか、おばさん臭いこと言っちゃったね」
「そんなことないよ」
お姉さんは身体を丸めて俯く。
表情が見えない。
「年、いくつ?」
「え? なんで?」
「私、ずいぶん年上よ」
「うん」
「気にならないの?」
「年上のお姉さん、好きだよ」
「相手を選ばないと、結婚とか迫られちゃうよ?」
「迫るの?」
「迫っちゃおうかな。いいとこ住んでるし、いいもの着てるし、いいとこのお坊ちゃんでしょ? お金に困らずに暮らせそう」
言葉とは裏腹に、声は冷静で、感情が見えない。
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