10人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたはだれ?」
私はおそるおそる尋ねた。
黒ずくめの少女はちょっと意地悪そうに見えるツリ目をパチパチさせて、気だるそうに微笑んだ。
「そんなこと、今はどうでもよくない?
そっちこそ、自分が誰か分かってんの?」
そう言い返されて、私は思わず考えた。
(私・・私は・・)
何の記憶も浮かんでこない。自分の姿も暗闇で見えない。ただ感じるのはどうにもならない恐怖だけだった。
自分の姿は見えないのに、黒ずくめの少女はハッキリと見える。私は訳が解らなくなった。
「その様子じゃ、何も解ってなさそうね。
いいわ。教えてあげる。あんたは生まれる前の魂。今からあんたがやらなきゃいけないことは選択すること。分かった?」
最初のコメントを投稿しよう!