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夫は仕事が忙しく、あまりルカと接する事ができず一人で育てている。
両親の家も遠く、人見知りの私はまだママ友も居ない。
こんな環境がルカに影響を与えているのだろうか。それとも赤ちゃんの頃母乳が出ず粉ミルクで育てたから?
特に母乳と粉ミルクでは差がないと分かってはいるが、勝手に心が私を責める。
「なんでそんなことするの!」
叱るとルカは喚きながら手元にあったおもちゃを投げ出した。
その一つのプラスチックの硬いおもちゃが顔に当たった。
「やめてよ……ねぇ、やめてってば!」
そんな育児に疲弊した頃、児童相談所に通報され私とルカは引き離された。
弱い私は、ルカに当たってしまっていたのだ……
***
「──それで、カウンセリングに通いつつ、ちょっとずつ回復してきて……実はこの一週間トライアルだったの。ルカと暮らせるかの練習。こんなに弱いお母さんなのだけど……ダメなお母さんだけど……もう一度ルカのお母さんになりたい。わがままっていうのは分かってるけど……」
お母さんは涙を拭った。後ろから眩しい夕日が差し込んでくる。
私は黙ったまま残りの四分の一をお母さんを見つめて過ごした。
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