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day.2
暑い、と目を覚ました。見慣れない天井が視界に飛び込む。
ここはどこだっけ……徐々に意識が覚醒していき、お母さんの家だ、と思い出した。とりあえず着替えようと、新品のパジャマを脱いで、これまた新品の服へ着替えた。
昨日、三日分くらいの服を買ってもらった。ほぼ他人に等しい人に買ってもらうのは気が引けたけれど、お母さんはどんどん買っていた。トップスだけで無く、下着までもカゴに入れていた。それがほんの少しだけ嬉しかった。
着替えた後お父さんからのLINEに気付いた。
“お父さんはしばらく繁忙期なので家に帰るのが遅くなるか、下手したら帰れません。お母さんの所で1週間くらい過ごしてね”
はぁ、とため息をつきながら既読だけしてスマホを閉じた。
お母さんの家でしばらく過ごすのはもう決定事項らしい。
なんだか、なぁ。ため息をついて横を見た。隣ではお母さんが酷い格好で眠っている。
もう一度スマホを開くと九時を示していた。起きなくていいのかな、と眺めていると不意にお母さんが跳ね起きた。
「わっ、今何時!?」
「九時です」
「えっ、嘘! 寝坊しちゃった。ごめん今から朝ごはん作るね」
「朝ごはん要らないです」
普段朝はお腹が空かない、と言うのもあるけれどゴミゴミとした部屋で食べるのも、信頼していない他人にご飯を振る舞われるのも嫌だった。
「えー、食べないと元気でないよ?」
「……別に」
無邪気に言うお母さんに無性に腹が立つ。
「せめて、コーヒーとヨーグルト食べない?」
「……それぐらいなら」
まぁいいか、と飲み込んだ。
寝室を出てリビングへ向かう。朝の日差しを浴びた部屋は、雑然さを強調している。
適当に食器出して、と言われたので奥にあったマグカップと小さな器、スプーンを取り出して丁寧に洗った。
自分でコーヒーも入れ、ヨーグルトもよそった。お母さんはシンクに放置された皿を水で流したのを使っていて、げんなりとしてしまった。
だって、汚いじゃん。
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