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「ねぇ、ルカ」
適当な朝ごはんを食べ終えてようやく着替えたお母さんが口を開く。
昨日はロングスカートだったのに対し、今日はジーパンというラフな格好だ。
「今日どこ行きたい?」
「え……別に」
昨日に引き続き、突拍子もないことを聞かれた。
「遊園地とか、水族館とか、後プールとか海行かない? 花火大会も今週あるよ。せっかく休みなんだからどっか行こう」
「えぇ……じゃあ……水族館で」
暑い中外に行きたくない。プールは頭が痛くなるから嫌いだし、遊園地は暑い。それに行くならほぼ赤の他人であるお母さんじゃなくて友達と行くだろう。
「オッケー! じゃあ早速行こう」
お母さんは無邪気に笑い声をあげた。
本当にお母さんと私は似ていない。キャアキャア盛り上がるより、少し遠い所で眺めている方が好きだ。
電車を数本乗り継いで、宮駅のアサガオモールというショッピングモールへ入った。アサガオモールの館内には水族館があるのだ。
アサガオモール自体はたまに行くけれど、水族館に行くのは久しぶりだ。
夏休みと言うこともあり館内は混んでいた。
幼い子供と仲良さそうに手を繋ぐ母親と父親、肩を寄せ合って歩くカップルに、笑いながら歩く友達仲間。私とお母さんとは対照的で思わず俯いた。
薄暗い館内でも分かるほどお母さんは笑っていたけれど、他人が見たら仲が良さそうな母娘に見られるのが嫌で、楽しめない。
一体なぜ、お母さんは今更私を連れだすのだろうか。
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