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day.5
目を覚ますと、これまでとは違いスッキリとしていた。
昨日は一日がかりで大掃除をした。お母さんの部屋は物が溢れすぎている。
『これ捨てるよ』
『ええ……!?』
『二年前のレシートですけどこれ……あ、これも捨てるね』
『それ友達から貰ったプレゼントの包装紙……』
『えー……じゃあ、これに入れて』
と、転がっていた紙袋を差し出したのだった。
そのおかげで今日は快適な気がする。それにしても汚かった。お煎餅のカスやらキャンディーの包み紙やらが絨毯の下から出てきた時は驚きを通り越して、呆れてしまった。その時は心の底からビニール手袋を二枚重ねで装着してて良かったと思った。
時刻は九時を回ったが、お母さんはまだ起きてこない。昨日の疲れが溜まったのだろうか……と思ったが、単に朝に弱いだけかもしれない。
スマホを弄りながら、お母さんと会ったあの日買ったアイスをようやく口にした。
結局、お母さんが起きてきたのは十二時過ぎだった。
今日はゆっくりと過ごそう、と話し合い、ダラダラとテレビを見て過ごした。
夕方、お母さんがふと思い立ったように呟いた。
「ルカ、今日一緒に夜ご飯作ろうよ」
「分かった」
基本、外食がメインだった。昨日まで部屋も汚かったから家で食べる気も無かったので不自由はしなかったが。
近所のスーパーに二人並んで出掛けた。お母さんとスーパーなんて初めてだ。道中、夜ご飯のメニューを話し合い、冷しゃぶを作ることにした。
スーパーでは運良く知り合いに会う事も無く、豚肉、白菜、プチトマトに、味噌や各種調味料を購入した。
お母さんは普段コンビニで済ませてしまうらしく、マトモに食料が無いのだ。
ずっしりと重いレジ袋を抱えるようにして帰宅し、早速夕食作り開始だ。
お湯を沸かし、豚肉や白菜を茹でていく。そして茹だったものは冷水で締める。
同時進行で味噌汁も作っていった。
それ程、時間をかけずに夜ご飯が食卓に並んだ。
炊飯器がないので米はレトルトだし、手抜きな夜ご飯だが、初めてお母さんと作った料理だ。
「うん、美味しい」
「やっぱり家ご飯いいなぁ」
ぽつりとお母さんは寂しげに漏らした。
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