望み

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 その賊が死んだという話を聞いたのは街はずれの鍛冶屋だった。  顔見知りの主人が何気なく言ったのだ。 「あの大樹を切り落とした賊に罰があたったらしい」  彼が言うには森の中で倒れているところを発見され、その時にはもう瀕死の状態だったらしい。  なんでも最期は水すら喉を通らず惨い死に方をしたという。 「原因はなんだったんだい?」  狩人が主人にそう尋ねる。 「なんでも菌を持った犬に噛まれたみたいだ」  その答えに犬は息が止まるかと思った。  怖くなって狩人を見ても彼は気づいているはずなのに何も言わなかった。  
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