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「――……そいつはまた……。えらく厄介なことを申し付かったもんだねぇ……」
「ほぉ~、のらりくらり王の命を躱し続けてきたガーネットにも、ついに年貢の納め時ってヤツがやってきたってことか?」
「ちげーねぇ。ま、コレも勇者さまの宿命だと思って諦めるんだな♪ ギャハハハハッ♪」
と、すぐ脇で話を訊いていた野次馬どもが俺たちの会話に割り込んできやがった。
チッ、どいつもこいつも他人事だと思って勝手なことばかり抜かしやがって……。
「しかし実際のところ、どうするんだい、ガーネット? 王の命に従って魔王退治の旅に出るつもりかい?」
「ハァ~~~ッ? 行くわけねーだろ、何で俺がんなことしなきゃならねーんだよっ⁉ それに、オイッ、皆もちょっと見てくれよっ⁉ 餞別だと抜かして、この国の王が俺に包んできたのがコレだぞっ⁉」
そう言って再び込み上げてくる怒りとともに帰りがけに渡された袋の中身をテーブルの上へとぶちまけていく。
チャリリリ~~ン……。
何とも頼りなさげな音とともにみんなの視線がテーブルへと集まっていく。
「「「「「ハァ~~!? 50ラピカ!? たったコレだけぇ!?」」」」」
テーブルには50ラピカの現金だけ転がっていて……。
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