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「おうよ! 後にも先にもこんだけだっ‼ ったくよぉ~、あんのクソジジイッ‼ ガキの小遣いでもあるまいし……。国王絶対ボケが始まってんぜ!? なぁ、オメーらもそう思うだろうが‼」
「フ~~ン、で、そこにあるのは一体どうしたんだい?」
憤慨する俺を余所に、あくまでも冷静にミランダが壁側にそっと置かれた物体について質問してきた。
そこには大きな風呂敷袋に強引に包まれた絵画だの壺だの、その他諸々の美術品やら何やらが雑多に詰め込まれていて……。
「ああ、こりゃあ帰る途中、城の廊下に飾ってあった調度品とかをお土産代わりに幾つかくすねてきた代物だよ。ホントはもっと持ってきたかったんだけどな、流石に一人じゃあ無理だったわ……」
悪びれることもなくそういう俺。フン、俺の貴重な時間を態々あんな下らないことに割いてやったんだ。これでも安いくらいだぜ……。
「ともかくよぉ~、本気で魔王を倒してーってんなら、それこそ国中から金かき集めてソレを持ってきた上で俺に依頼してこいってんだ。それと全軍の指揮権も俺によこしやがれってんだよっ‼ 先ずはそっからだろーが、違うかっ⁉」
憤慨する俺にミランダの笑みがこぼれる。
「フフフ、でももし本当にそんなことになってもどうせアンタは引き受けやしないんだろ?」
「あったりめーだろ? なんで俺がそんなめんどくせーことしなきゃならねーんだよ?」
そういうと俺は再びウェェルの入った大ジョッキへと手を伸ばしていく。
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